Earth Compass|2026年9月28日 朝版

日本列島の地殻活動リスクは、熊本地域に最重点で監視され、全国的にはやや低下傾向が見られています。熊本では余震域が活動中で、注意が必要です。地震予知ではなく、現在の観測状態をもとにリスクモニタリングが行われています。

日本列島・地殻活動リスクモニタリング

本日の総合判定:🟡 注意
前日比:↓ やや低下
基準時刻:2026年9月28日 08:01 JST

今朝のEarth Compassでは、熊本を最重点監視としつつ、全国的な活動強度は前日よりやや低下と評価します。

9月27日の日中以降に気象庁の緊急地震速報(予報)対象として追加された主な地震は、16時25分の浦河沖M3.5・最大震度1、17時37分の沖縄本島近海M3.5・深さ40km・最大震度1です。9月26日の熊本県熊本地方M4.5・最大震度4以降、同一覧では新たなM4以上の地震は掲載されていません。なお、この一覧はすべての微小地震を網羅する震源カタログではないため、Earth Compassでは面的・長期的な評価を他の専門機関データと組み合わせています。 気象庁データ

地域・観測項目判定前日比本朝の評価
日本全国🟡 注意↓熊本M4.5以降、M4以上の新規掲載なし
熊本・天草・芦北🟡 注意↓小余震域を最重点監視、直近は活動低下
東北・三陸🟡 注意→大地震後の余効変動が継続
首都圏・関東🟢 通常↓新規の顕著な活動・広域GNSS異常なし
日向灘・九州東部🟡 注意↓9/21 M4.8以降、同規模の拡大なし
奄美・南西諸島北部🟡 注意↓M5前後の活動後、現在は沈静化方向
沖縄本島🟢 通常↑小9/27 M3.5・震度1、規模拡大なし
宮古・石垣・西表・与那国🟢 通常→新たな顕著な活動なし
北海道🟢 通常↑小浦河沖M3.5・震度1
南海トラフ🟢 通常※→公式評価に特段の変化なし
地殻変動🟡 注意→熊本・東北の余効変動が主体
海底観測品質🟡 注意※→DONET一部休止情報を継続確認
電離圏・太陽・地磁気🔵 参考監視→地震判定には直接使用しない

※Earth Compass独自の「監視優先度」です。気象庁の警報・注意報ではありません。また「通常」は地震が発生しないことを意味しません。


熊本・天草・芦北

🟡 注意 ↓小【最重点監視を継続】

9月26日10時31分の熊本県熊本地方M4.5・最大震度4、11時21分のM3.6・最大震度3以降、28日朝まで同一覧に新しい熊本の対象地震は追加されていません。短期的には一段落していますが、7月28日のM7.1以降の活動域であるため「通常」には戻しません。 気象庁データ

気象庁が9月24日に更新した最新評価では、令和8年熊本地震後は平常時より地震発生数が多い状態が当分続く一方、最大震度5弱程度以上の地震が発生する可能性は低下し、その頻度は「1か月に1回程度」に相当する水準を下回っています。したがって「活動継続」と「リスク低下」は両立する状態です。 気象庁

国土地理院は、熊本県を中心とする広い範囲でM7.1後の余効変動を確認しています。9月25日には衛星SARとGNSSを利用した座標・標高補正を公表し、三角点2,501点の測量成果を改定しました。これは7月の大地震で生じた地盤変位を測量成果へ反映したもので、新たな前兆現象ではありません。 地理院地図


東北・三陸

🟡 注意 →

直近の対象地震は9月24日の宮城県沖M4.1・最大震度2で、それ以降は新たなM4級以上の掲載はありません。 気象庁データ

一方、国土地理院の最新全国GNSS解析では、4月20日の三陸沖M7.7と6月25日の岩手県沖地震後の余効変動が岩手県を中心に続き、2011年東北地方太平洋沖地震後の長期的余効変動も確認されています。これは既知の大地震後の地殻調整であり、現時点で新しい異常を意味するものではありません。 地理院地図


首都圏・関東

🟢 通常 ↓

9月22日の茨城県南部M3.9・最大震度3、24日の茨城県沖M3.7、千葉県北東部M3.6以降、気象庁EEW対象一覧では首都圏周辺の目立った更新はありません。 気象庁データ

国土地理院が9月8日に公表した最新の全国GNSS月次解析でも、関東・中部地方は「特段の変化は見られません」とされています。直近の地震が散発的な小規模活動にとどまり、独立した地殻変動異常も重なっていないため、本日は「注意」から通常へ一段引き下げます。 地理院地図


日向灘・九州東部

🟡 注意 ↓

日向灘では9月18日M4.3、19日M4.0、21日M4.8・最大震度3とM4級が複数回発生しましたが、21日以降は同一覧で新しいM4級は確認されていません。 気象庁データ

短期的には沈静化しています。ただし一週間以内に複数のM4級があったため、Earth Compassではもう一段階「注意」を維持します。

今回の日向灘活動だけから、南海トラフ巨大地震の短期的な発生可能性が高まったとは評価できません。


奄美・沖縄・八重山

奄美:🟡 注意 ↓

沖縄本島:🟢 通常 ↑小

宮古・八重山:🟢 通常 →

奄美では9月13日M5.1、20日M5.0、22日M4.9とM5前後の活動が続きましたが、22日以降は同規模の更新がありません。注意を維持しつつ、傾向は低下です。 気象庁データ

沖縄本島周辺では9月25日M4.0、26日M3.8、27日17時37分に沖縄本島近海M3.5・深さ40km・最大震度1がありました。小規模地震が散発していますが、規模が上昇する系列や広域的な活動拡大とは現時点では判断できません。沖縄本島は「通常」のまま監視優先度をわずかに上げます。 気象庁データ

石垣島、西表島、与那国島については、9月9日の西表島付近M4.0、与那国島近海M4.2以降、判定を引き上げる顕著な活動は同一覧にありません。国土地理院の最新月次GNSSでも**沖縄地方は「特段の変化は見られません」**としています。したがって八重山は本日も通常判定です。 気象庁データ


南海トラフ

🟢 通常 →

気象庁の最新公式評価は9月7日の第109回南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会です。

評価は、**「南海トラフ沿いの大規模地震の発生可能性が、平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」**という内容で、9月28日朝までこれを変更する新たな臨時情報は掲載されていません。 気象庁データ

四国、紀伊半島などでは深部低周波地震・微動と短期的ゆっくりすべり、静岡県西部~愛知県東部では2022年初頭から長期的ゆっくりすべりに起因すると推定される地殻変動が観測されています。しかし気象庁は、これらは従来から繰り返し観測されてきた現象で、プレート境界の固着状態に特段の変化を示すものではないと評価しています。 気象庁データ

したがって本日も通常です。

ただし南海トラフの「平常時」は低リスクという意味ではありません。気象庁もM8~9クラスの地震について、長期的には切迫性の高い状態であることを明記しています。 気象庁データ


地殻変動

🟡 注意 →

国土地理院が現在明瞭に捉えている主な地殻変動は、令和8年熊本地震後の余効変動、三陸沖・岩手県沖地震後の余効変動、2011年東北地方太平洋沖地震後の余効変動です。静岡県西部~愛知県東部では長期的ゆっくりすべりに伴うと推定される非定常変動も継続しています。 地理院地図

国土地理院の「地殻変動に関する報道発表」では、全国月次資料は9月8日公表分が最新です。9月26~27日の小規模地震に対応する新たな広域異常資料は掲載されていません。 地理院地図

したがって地殻変動は注意・横ばいです。


海底観測

🟡 観測品質上の注意 →

日本海溝側ではS-netが150観測点、南海トラフ東部ではDONETが51観測点、高知県沖~日向灘ではN-netが36観測点を持ち、海底の地震計・水圧計データをリアルタイム監視に活用しています。N-netは各18点の2システムで構成され、24時間連続で観測しています。 海底地形情報

一方、防災科研の「観測点作業情報」では、現在休止中としてDONET1の11点、DONET2の3点、計14点が掲載されています。ただし同ページの更新日は2026年5月11日です。 海底地形情報

これは地震活動の異常を意味するものではなく、データ完全性・観測品質上の注意事項です。Earth Compassの地震発生リスク点数には加算しません。


電離圏・太陽活動・地磁気

🔵 参考監視 ― 地震リスク判定から分離

NICTは、太陽フレア、太陽風、柿岡の地磁気K指数、日本上空のfoF2、TEC、ROTIなどを準リアルタイムで監視しています。TECはGNSS測位誤差、ROTIはプラズマバブルなどの電離圏擾乱、K指数は地磁気の乱れを把握する重要な指標です。 宇宙天気予報

ただしこれらの観測の主目的は、短波通信、衛星、GNSS測位、宇宙システムなどに対する宇宙天気影響の把握です。NICT自身も宇宙天気予報を通信・放送インフラや宇宙システム運用等のための情報として提供しています。 宇宙天気予報

特に重要なのは、TEC・ROTIの変化、電離圏異常、太陽フレア、CME、太陽風、地磁気擾乱を使って、地震の日時・場所・規模を実用的な精度で予測する科学的方法は確立されていないことです。

電離圏は昼夜、季節、緯度、太陽活動、磁気嵐などによって自然に大きく変化します。NICTのTEC・電離圏嵐指標も、過去の統計状態との偏差として宇宙天気を監視するためのものです。 宇宙天気予報

したがってEarth Compassでは、これらを研究・参考監視として掲載しますが、地震判定の「通常→注意→警戒→高警戒」を引き上げる根拠には使用しません。


本日の総合評価

🟡 注意 ↓ やや低下

昨日朝と比較すると、熊本で新しいM4級以上は発生しておらず、全国の新規掲載も浦河沖M3.5と沖縄本島近海M3.5・いずれも最大震度1にとどまりました。したがって全国的な活動強度は一段低下と判断します。 気象庁データ

一方、熊本では平常時より活動が多い状態と余効変動が継続し、東北でも既往大地震後の余効変動が残っています。このため全国総合判定を「通常」までは下げず、注意の中で改善とします。 気象庁

🟠 警戒:該当地域なし
🔴 高警戒:該当地域なし

現時点では、地震活動、GNSS、南海トラフ監視など複数の科学的に確立された独立観測系が同時に異常化している状況は確認されていません。


防災上のコメント

本日の最重点監視は引き続き熊本・天草・芦北です。活動は前日より落ち着きましたが、熊本地震の余震域では平常時より地震数が多い状態が続いています。被災した建物、石垣、ブロック塀、斜面などへの接近は引き続き避け、家具固定や就寝時のライト・靴・スマートフォン確保を継続してください。 気象庁

石垣島・西表島・与那国島は本日も通常判定です。 沖縄本島近海でM3.5がありましたが、八重山へ地震活動が拡大していると判断できる観測データはありません。

ただし八重山を含む島しょ部では、強い揺れ、または弱くても長くゆっくりした揺れを感じた場合は、海岸から離れて高台へ移動するという津波避難の原則を常に優先してください。


Earth Compassは地震予知ではありません。 専門機関の公開データを横断し、現在の観測状態が通常範囲からどの程度離れているかを整理するリスクモニタリングです。科学的に確立されていない指標を「前兆」と断定することはありません。

データ出典・参考資料

気象庁|緊急地震速報(予報)発表状況 / 気象庁|南海トラフ地震に関連する情報 / 気象庁|令和8年熊本地震ポータル / 国土地理院|令和8年8月の地殻変動 / 防災科研|海底地震津波観測網 / NICT|宇宙天気予報

Earth Compass — 予知ではなく、確かな観測から。

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