2026年9月6日 朝版
日本列島・地殻活動リスクモニタリング
本日の総合判定:🟡 注意
前日比:→ 横ばい
本日の重要ポイント:日本国内では「警戒」「高警戒」へ引き上げる新たな公的情報は確認されていません。一方、9月5日にインドネシア・クラカタウ火山で大規模噴火が発生したため、「海外火山・環太平洋火山活動」を本日の重点項目とします。
9月6日08時時点で確認できる気象庁、国土地理院、防災科研、NICT等の公開情報を統合すると、国内の地震・地殻変動について複数の独立した観測系が同時に新しい異常を示している状況は確認できません。 東北太平洋側、熊本、北海道太平洋側など既往大地震後の地域では引き続き注意が必要ですが、全国判定は昨日と同じ「注意」を維持します。 国土地理院
| 地域・観測項目 | 判定 | 前日比 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 日本全国 | 🟡 注意 | → | 複数重点地域を継続監視 |
| 東北・三陸沖 | 🟡 注意 | → | M7級地震後の余効変動継続 |
| 熊本・天草・九州中部 | 🟡 注意 | → | M7.1後の活動・余効変動 |
| 北海道太平洋側 | 🟡 注意 | → | 浦河~釧路沖の活動後 |
| 首都圏・関東 | 🟢~🟡 通常~注意 | → | 最新GNSSで特段の変化なし |
| 南海トラフ | 🟢 通常※ | → | 最新公的評価に大きな変更なし |
| 沖縄本島 | 🟢 通常 | → | 顕著な新規活動なし |
| 宮古島 | 🟡 注意 | → | 小規模活動後を経過観察 |
| 八重山・与那国 | 🟢~🟡 通常~注意 | → | 規模拡大を示す材料なし |
| 海底観測 | 🟢 通常 | → | 観測網は稼働、新規臨時情報なし |
| 地殻変動 | 🟡 注意 | → | 熊本・東北の余効変動 |
| 太陽活動 | 🔵 参考監視 | ↑ | NICT:活発→今後やや活発予想 |
| 地磁気 | 🔵 参考監視 | → | NICT:静穏 |
| クラカタウ火山 | 🟠 海外重点監視 | ↑ | 約15kmの大規模噴煙 |
※「通常」は安全を保証するものではなく、現在観測されている状態に、短期的な明瞭な異常上乗せが確認されていないという意味です。
1.東北・三陸沖
判定:🟡 注意 →
国土地理院の最新月次GNSS解析では、2026年6月25日の岩手県沖地震に伴う地殻変動に加え、4月20日の三陸沖M7.7後の余効変動が岩手県を中心とする広い地域で継続しています。2011年東北地方太平洋沖地震後の余効変動も引き続き観測されています。 国土地理院
これは「新しい前兆」ではなく、大規模地震後の地殻がまだ調整を続けている状態です。
9月4日に福島県沖M4.0、宮城県沖M3.8が発生しましたが、その後に「警戒」へ上げる規模拡大を示す公的情報は本朝まで確認できません。
したがって昨日から判定変更なしです。
2.熊本・天草・九州中部
判定:🟡 注意 →
7月28日の令和8年熊本地震M7.1後の活動を引き続き重点監視します。
気象庁の熊本地震ポータルは9月2日に更新されており、地震後の活動について継続的な情報提供が行われています。 Google
国土地理院では、電子基準点「千丁」で本震に伴い北東方向約87cm、約33cm沈降という非常に大きな変位を観測し、その後も余効変動と考えられる地殻変動を確認しています。 国土地理院
現在の小規模地震は大地震後の活動として説明可能であり、これを次の大地震の前兆と判断することはできません。
3.北海道・浦河沖~釧路・根室
判定:🟡 注意 →
9月2日の浦河沖M4級活動、9月4日の釧路沖M3.5などを受け、北海道太平洋側は経過監視を続けます。
ただし現在確認できる公開情報では、昨日からさらに一段規模が拡大したとする材料はありません。
したがって注意を維持しつつ横ばいです。
4.首都圏・関東
判定:🟢~🟡 通常~注意 →
国土地理院の最新月次GNSS解析では、関東・中部地方について**「特段の変化は見られません」**とされています。 国土地理院
8月23日の茨城県南部M5.9、8月30日の千葉県東方沖M4.8後に注目してきましたが、現在は短期的には沈静化方向です。
もちろんこれは、首都直下地震の長期的な発生リスクが低下したという意味ではありません。
5.南海トラフ
判定:🟢 通常 →
気象庁は南海トラフ周辺について週間活動概況を継続的に公表しており、最新掲載分は8月28日~9月3日です。 気象庁データポータル
現在までに、南海トラフ地震臨時情報を必要とする新しい異常状態は確認していません。
Earth Compassでは、
地震活動
GNSS
ひずみ計
深部低周波地震・微動
短期・長期ゆっくりすべり
DONET・N-net
を可能な範囲で横断します。
ただし重要なのは、
「通常」=南海トラフ巨大地震の危険が小さい
ではないことです。
南海トラフは平常時から長期リスクが高い領域です。
6.沖縄・宮古・八重山
沖縄本島
🟢 通常 →
宮古島
🟡 注意 →
八重山・与那国
🟢~🟡 通常~注意 →
国土地理院の最新月次GNSSでは、沖縄地方に特段の地殻変動は確認されていません。 国土地理院
八重山については8月末の西表島・与那国周辺のM3~4級活動を引き続き追跡しますが、現段階で規模拡大を示す材料は確認していません。
本日はむしろ、後述するクラカタウ火山噴火に伴う津波確認の方が、沖縄・八重山にとって重要な更新事項です。
7.海底観測
判定:🟢 通常 →
防災科研のS-netなど海底地震津波観測網では、9月5日分についても観測波形データが作成・公開されています。 海底情報ポータル
Earth Compassでは、
S-net
DONET
N-net
を重要な監視系として位置付けます。
ただし、生波形だけを独自に読み取って「前兆」と判定することはしません。
海洋ノイズ、局所地震、機器特性などとの識別には専門解析が必要だからです。
8.地殻変動
判定:🟡 注意 →
最新の全国GNSS解析では、
三陸沖地震後の余効変動
岩手県沖地震に伴う地殻変動
熊本地震後の余効変動
が主な地震関連変動です。 国土地理院
一方、
関東・中部
近畿・中国・四国
九州
沖縄
については、月次解析では「特段の変化なし」と整理されています。 国土地理院
なお静岡県西部~愛知県東部では、2022年初頭から続く非定常地殻変動があり、プレート境界深部の長期的ゆっくりすべりによるものと推定されています。これは新規異常ではありません。 国土地理院
9.太陽活動・地磁気・電離圏
NICTの最新宇宙天気情報では、
太陽活動:活発
今後1日:やや活発予想
地磁気活動:静穏
今後数日:静穏予想
となっています。 宇宙天気予報
Earth Compass判定
太陽活動:🔵参考監視 ↑
地磁気:🔵参考監視 →
電離圏:🔵参考監視 →
ここは科学的に非常に重要な線引きをします。
太陽フレア・太陽風・地磁気変動・TEC・ROTIなどを使って、地震の日時・場所・規模を実用的に予測する手法は確立されていません。
NICTの宇宙天気情報自体も、主に通信、放送、GNSS、人工衛星等への宇宙環境影響を評価する目的で運用されています。 宇宙天気予報
したがってEarth Compassでは参考情報に限定し、地震リスク判定には直接加点しません。
海外火山・環太平洋火山活動
アナク・クラカタウ/クラカタウ火山
🟠 海外重点監視 ↑
本日の最も大きな更新です。
9月5日02時50分頃(日本時間)、インドネシアのクラカタウ火山で大規模噴火が発生しました。
気象庁によると、
噴煙高度:約50,000フィート
= 約15,000m
に達しました。 気象庁
噴火直後、気象庁は2022年トンガ噴火のような気圧波による潮位変化も考慮し、日本への津波影響を調査しました。
9月5日08時30分の段階では、
海外・国内の観測点とも、噴火に伴うと考えられる有意な潮位変化は観測されていません。 気象庁
インドネシア当局はアナク・クラカタウを**Level III(Siaga/警戒)**としており、活動火口から3km以内への立ち入りを禁止しています。また現地地質当局は、2018年以降に再形成された山体は現段階では大規模山体崩壊による津波を引き起こす規模ではないとの評価を示しています。 ANTARA News
八重山への評価
昨日、一時的に最も早い場合沖縄県地方へ06時頃到達する可能性が想定されましたが、観測された有意な潮位変化はありませんでした。 気象庁
したがって本朝時点で、
八重山の津波リスクを「警戒」に引き上げる状況ではありません。
一方、噴火活動そのものは非常に大きいため、Earth Compassではアナク・クラカタウの定点監視を強化します。
注目するのは、
警戒レベル
噴煙高度
火山性微動
SO₂
山体変形・崩壊兆候
津波
航空影響
です。
本日のEarth Compass総合評価
🟡 日本全国:注意 →
国内地震活動は昨日から大きな悪化なし。
東北・熊本・北海道は大地震後または最近の活動域として注意を継続します。
首都圏は短期的には落ち着いており、南海トラフも現段階で臨時情報を必要とする異常は確認されていません。
八重山についても国内地震活動による警戒レベル変更はありません。
一方で、本日はアナク・クラカタウ大規模噴火をEarth Compassの海外火山監視開始後でも重要度の高いイベントとして扱います。
今日の重点監視順位
1位 アナク・クラカタウ火山
大規模噴火。約15kmの噴煙。日本で有意な潮位変化なし。
2位 熊本・天草・九州中部
M7.1後。余効変動・地震活動継続。
3位 三陸沖~東北太平洋側
2026年のM7級地震後。余効変動継続。
4位 北海道太平洋側
浦河~釧路沖活動後。
5位 宮古・八重山・与那国
小規模活動後に加え、海外火山津波情報も継続監視。
防災上のコメント
国内については本日、特別な行動変更を必要とする「警戒」「高警戒」地域はありません。
ただし北海道・東北・八重山など海沿いでは、
強い揺れ
または弱くても長くゆっくりした揺れ
→ 海岸から離れ、高い場所へ
という原則を維持してください。
またクラカタウのように、遠方の大規模火山噴火でも津波・気圧波の確認が行われる場合があります。地元で揺れていない=津波が絶対に来ないとは限らないため、気象庁の津波情報が発表された場合には通常の地震津波と同様に従う必要があります。
本日の「警戒」「高警戒」と判定する国内地域はありません。
Earth Compassは地震や噴火を予知するものではありません。 専門機関の公開データから、現在の活動が平常状態からどの程度外れているかを整理し、防災上の注意度を評価するモニタリングです。
データ出典・参考資料
気象庁|地震・津波情報
気象庁|週間地震概況・南海トラフ周辺
気象庁|9月5日クラカタウ火山大規模噴火 第2報
国土地理院|令和8年7月の地殻変動
防災科研|海底地震津波観測網
NICT|宇宙天気予報
Earth Compass — 予知ではなく、確かな観測から。

