2026年9月3日 朝版
日本列島・地殻活動リスクモニタリング
本日の総合判定:🟡 注意
前日比:→ おおむね横ばい
今日の変化:熊本・天草芦北で小規模有感地震が継続。浦河沖は昨日のM4級連続後、新たな規模拡大は確認されず。南海トラフ・首都圏・八重山に警戒レベルを引き上げる新しい公的情報は確認していません。
9月3日07時50分ごろまでの気象庁系地震情報、国土地理院、防災科研、NICTなどの公開情報を横断しました。全国を「警戒」「高警戒」に引き上げるだけの新しい公的臨時情報や、複数の独立した観測系にまたがる顕著な異常は現時点では確認できません。
ただし熊本では本日05時54分に天草・芦北地方M3.2・最大震度2、06時39分にも同地域M1.8・最大震度1が発生しており、7月28日のM7.1後の活動を引き続き重点監視します。 FNNプライムオンライン
地域別リスク評価
| 地域・観測系 | Earth Compass判定 | 前日比 | 主な根拠 |
|---|---|---|---|
| 日本全国 | 🟡 注意 | → | 大規模な続発はないが複数重点地域を継続監視 |
| 熊本・天草・九州中部 | 🟡 注意 | ↑ | 9/3朝にもM3.2・震度2など |
| 北海道・浦河沖~根室 | 🟡 注意 | ↓ | 9/2 M4.3・震度2後、規模拡大なし |
| 東北・三陸沖 | 🟡 注意 | → | 今年のM7級地震・余効変動を継続監視 |
| 首都圏・関東 | 🟢~🟡 通常~注意 | ↓ | 千葉震度4後、目立った強震続発なし |
| 南海トラフ | 🟢 通常※ | → | 最新公式評価で特段の変化なし |
| 日向灘 | 🟢~🟡 通常~注意 | → | 9/2 M4.0・震度1 |
| 紀伊半島・和歌山 | 🟢~🟡 通常~注意 | ↑ | 9/2 和歌山県北部M3.3・震度3 |
| 宮古島周辺 | 🟡 注意 | → | 9/2 M3.3・震度1。8月から小規模活動継続 |
| 沖縄本島 | 🟢 通常 | → | 新しい顕著な有感活動を確認せず |
| 八重山・与那国 | 🟢~🟡 通常~注意 | ↓ | 8/31与那国M4.1後、規模拡大を確認せず |
| 海底観測 | 🟢 通常 | → | 新たな公的臨時情報なし |
| 地殻変動 | 🟡 注意 | → | 熊本・東北の既往大地震後変動 |
| 太陽活動 | 🔵 参考監視 | → | NICT:やや活発 |
| 地磁気 | 🔵 参考監視 | → | NICT:静穏 |
| 電離圏 | 🔵 参考監視 | → | 地震予知への利用は科学的に未確立 |
※Earth Compassの「通常」は安全を意味しません。「現在、平常時を明確に上回る短期的異常が公的に確認されていない」という意味です。
1.熊本・天草・九州中部
🟡 注意 ↑
今朝の最大の変化です。
9月3日05:54
熊本県天草・芦北地方
M3.2/深さ約10km/最大震度2
芦北町で震度2、水俣市・上天草市・天草市・八代市・球磨村などで震度1を観測しました。津波の心配はありません。 FNNプライムオンライン
さらに06時39分にも同地域でM1.8・最大震度1が発生しています。 FNNプライムオンライン
昨日11時54分にも同地域でM2.8・震度1があり、7月28日の熊本地震後の活動域では小規模地震が現在も続いています。 FNNプライムオンライン
ただし、このM3.2を次の大地震の前兆と判断する科学的根拠はありません。
国土地理院はM7.1本震に伴い電子基準点「千丁」で北東方向約87cm、約33cmの沈降を観測し、その後も余効変動と考えられる変化を確認しています。衛星SAR解析でも日奈久断層帯北西側に最大約1.5mの北東向き変位、最大約60cmの沈降が解析されています。 国土地理院
したがってEarth Compassでは、
地震活動+地殻変動の双方から「注意」継続
とします。
2.北海道・浦河沖
🟡 注意 ↓
昨日9月2日04時21分、浦河沖でM4.3・最大震度2が発生しました。
函館市、青森県階上町・東通村で震度2を観測し、岩手県でも震度1を観測しています。津波の心配はありませんでした。 FNNプライムオンライン
前日はM4級が短時間に複数発生したため注目度を上げましたが、今朝までにさらに強い地震へ規模が拡大した状況は確認していません。
そのため、
注意は維持、前日比はやや沈静化
と評価します。
3.東北・三陸沖
🟡 注意 →
三陸沖・岩手県沖については、新しい強震があったからではなく、2026年の大型地震後の状態を理由に注意を維持します。
国土地理院は、
4月20日 三陸沖M7.7
6月25日 岩手県沖M7.2
に伴う地殻変動を確認しており、7月のGNSS観測でも岩手県北部~青森県の地殻変動と、三陸沖M7.7後の余効変動が継続していました。 国土地理院
一方、現在の公開資料から新しい大規模地殻変動が発生したと判断できる材料はありません。
注意 → 継続監視です。
4.首都圏・関東
🟢~🟡 通常~注意 ↓
8月23日の茨城県南部M5.9・最大震度5弱、その後8月30日の千葉県東方沖M4.8・最大震度4がありました。
しかし、その後に同程度以上が連続する状況は現在確認していません。
国土地理院が公開している最新の全国GNSS月次解析でも、関東・中部地方については**「特段の変化は見られません」**とされています。 国土地理院
そのためEarth Compassでは首都圏を、
注意 → 通常~注意
へ一段引き下げます。
首都直下地震の長期リスクが下がったという意味ではありません。あくまで現在の短期活動が落ち着いているという評価です。
5.和歌山・紀伊半島
🟢~🟡 通常~注意 ↑
9月2日17時23分、和歌山県北部で
M3.3/深さ約10km/最大震度3
の地震が発生しました。湯浅町で震度3、有田川町で震度2を観測しました。津波の心配はありません。 FNNプライムオンライン
規模そのものは小さく、これだけで南海トラフとの関連を示すものではありません。
ただし紀伊半島は南海トラフ観測上も重要な地域なので、短期的に注目しておきます。
6.南海トラフ
🟢 通常 →
本日朝までに南海トラフ地震臨時情報を発表する新しい状況は確認されていません。
気象庁の最新定例評価(8月7日)は、
南海トラフ沿いの大規模地震の発生可能性が、平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない
としています。 気象庁データポータル
8月2日の日向灘M5.3についても、フィリピン海プレート内部の地震と解析されています。
一方、四国・紀伊半島周辺では深部低周波地震(微動)や短期的ゆっくりすべりが観測されていますが、これらを含めたうえで気象庁は「特段の変化なし」と評価しています。 気象庁データポータル
Earth Compass判定
🟢 通常 →
ただしこれは非常に重要です。
通常 ≠ 南海トラフ巨大地震の危険が小さい
ではありません。
南海トラフは平常時から長期リスクの高い領域です。
7.日向灘
🟢~🟡 通常~注意 →
昨日9月2日08時24分、日向灘でM4.0・深さ約40km・最大震度1の地震が発生しました。
熊本・宮崎・鹿児島で震度1が観測され、津波の心配はありませんでした。 カブドットコム証券
M4.0単独から南海トラフ活動の変化を読み取ることはできません。
そのため「通常~注意」を維持します。
8.沖縄・宮古・八重山
沖縄本島
🟢 通常 →
宮古島
🟡 注意 →
9月2日10時27分、宮古島近海M3.3・深さ約20km・最大震度1が発生しました。津波の心配はありません。 ライブドアニュース
8月25日のM4.2、28日のM4.5なども含め、小規模活動が断続しています。
ただし現時点で、宮古周辺が群発化・大型化していると判断する材料はありません。
八重山・与那国
🟢~🟡 通常~注意 ↓
8月30日の西表島付近M3.6、31日の与那国島近海M4.1後、本朝までの確認範囲ではさらに規模が拡大する新しい有感地震は目立っていません。
昨日までより一段落ち着いた評価です。
ただし八重山では海域地震=津波リスクを常にセットで考える必要があります。
9.海底観測 ― S-net・DONET・N-net
🟢 通常 →
日本周辺では、
S-net:日本海溝
DONET:南海トラフ東側
N-net:高知県沖~日向灘
などの海底地震・津波観測網が稼働しています。
特にN-net沿岸システムは2026年3月から緊急地震速報等への活用が開始され、四国沖~日向灘では従来より早い地震検知が期待されています。 防災ポータル
本朝までに、これら海底観測を根拠とした新たな南海トラフ地震臨時情報は確認していません。
ここでもEarth Compassでは、
生波形の変化を独自に「前兆」と認定しません。
海洋ノイズ、局所地震、機器特性などを専門解析なしに区別できないためです。
10.地殻変動
🟡 注意 →
現在最も明瞭なのは、
熊本地震後の余効変動
三陸沖・岩手県沖地震後の余効変動
です。
国土地理院の最新公開一覧では、地震関連の最新主要更新は熊本地震の解析などで、本朝までに日本列島全体へ及ぶ新しい大規模地殻変動の緊急発表は確認していません。 国土地理院
したがって全国の地殻変動評価は、
注意 →
とします。
これは新規異常ではなく、既往大地震後の変動を評価したものです。
11.太陽活動・地磁気
NICTの最新宇宙天気情報では、
太陽活動:やや活発
今後1日もやや活発の予想
地磁気活動:静穏
今後数日も静穏予想
となっています。 宇宙天気予報
判定
太陽活動:🔵参考監視
地磁気:🔵参考監視
12.電離圏
電離圏TEC、foF2、ROTIなどは通信やGNSSへの影響を監視するうえで重要です。
しかしEarth Compassでは、ここを地震活動とは明確に切り分けます。
電離圏TEC異常、太陽フレア、太陽風、地磁気擾乱などから地震の発生日時・場所・規模を実用的に予測する方法は、現在の科学では確立されていません。
研究論文として地震前後の電離圏変化を議論するものはあります。
しかし、
再現性
偽陽性の多さ
宇宙天気との分離
実用的な予測精度
という問題があります。
そのためEarth Compassでは参考監視のみとし、警戒レベルの加点には使用しません。
本日のEarth Compass総合評価
🟡 全国:注意 →
昨日から全国が一段悪化した状態ではありません。
ただし熊本では、
9/2 M2.8 → 9/3 M3.2 → M1.8
と小規模活動が続いているため、本日は熊本の監視優先度を再び上げます。 FNNプライムオンライン
北海道は昨日の浦河沖M4級活動後、現在はやや沈静化。
首都圏も千葉震度4後は沈静化方向。
三陸沖・東北は大地震後の余効活動を継続監視。
南海トラフは最新公式評価で特段の変化なし。
八重山・与那国も、現在は小規模活動後の経過観察段階です。
今日の重点監視順位
1位 熊本・天草・九州中部
今朝もM3.2・震度2。M7.1後の活動継続。
2位 三陸沖~東北太平洋側
2026年のM7級複数地震後。余効変動継続。
3位 北海道・浦河沖~根室
昨日M4.3。現状は沈静化方向。
4位 宮古・八重山・与那国
南西諸島で小規模地震が断続。
5位 紀伊半島~日向灘
和歌山震度3と日向灘M4.0。ただし南海トラフ公式評価に変化なし。
今日のポイント
全国判定は「注意」を維持します。9月3日朝、熊本県天草・芦北地方でM3.2・最大震度2が発生し、その後も小規模地震を確認しました。浦河沖は昨日のM4級活動後、規模拡大は確認されていません。首都圏も沈静化方向です。南海トラフに新たな公的異常情報はなく、八重山・与那国も現時点では小規模活動後の経過観察段階です。
防災上のコメント
熊本では本震から1か月以上経過しても小規模地震が続いています。特に既に損傷した建物、石垣、ブロック塀、斜面は小さな揺れでも二次被害につながることがあります。
北海道・東北の太平洋沿岸では、沖合地震が続いてきた地域です。強い揺れ、または長くゆっくりした揺れを感じた場合は海から離れてください。
首都圏は落ち着きつつありますが、家具固定、寝室の安全、ライト、靴、スマートフォン・モバイル電源の準備は維持してください。
石垣島・西表島・与那国島・宮古島ではEarth Compassの色に関係なく、
強い揺れ、または弱くても長い揺れ
→ 津波警報を待たず海岸から離れ、高い場所へ
を基本行動としてください。
Earth Compass評価基準
🟢 通常
現在の観測が概ね平常範囲。
🟡 注意
地震活動の増加、大地震後の活動、注視すべき地殻変動など。
🟠 警戒
強震直後や公的注意情報、複数の独立観測などから、防災上の警戒を一段強めるべき状態。
🔴 高警戒
重大な公的臨時情報等を伴う明確な異常状態。
本日、Earth Compassで「警戒」「高警戒」と判定する地域はありません。
なお、この4段階はEarth Compass独自のリスク整理指標であり、気象庁等の公式警戒区分ではありません。
Earth Compassは地震予知ではありません。
専門機関の地震活動、GNSS、SAR、海底観測、ゆっくりすべり、電離圏、太陽活動、地磁気等の公開データを統合し、**「現在が平常状態からどの程度離れているか」**を評価するモニタリングです。
データ出典・参考資料
気象庁|南海トラフ地震に関連する情報
国土地理院|地殻変動に関する報道発表
国土地理院|令和8年熊本地震に伴う地殻変動
国土地理院|令和8年7月の地殻変動
防災科研|N-netの緊急地震速報等への活用
NICT|宇宙天気予報
Earth Compass — 予知ではなく、確かな観測から。

