2026年8月29日 朝版
日本列島・地殻活動リスクモニタリング
本日の総合判定:注意
前日比:→ おおむね横ばい
本日の焦点:三陸沖・熊本の継続監視。首都圏は沈静化方向。宮古島周辺はM4級活動を注視。
8月29日朝時点の気象庁・国土地理院・防災科研・NICTの公開情報を横断すると、日本列島全体を「警戒」「高警戒」へ引き上げる新たな複合異常は確認できません。
気象庁の最新地震情報ページでは、直近に8月28日03時11分・宮古島北西沖M4.5、最大震度1が掲載されています。8月27日の三陸沖M6.1以降、全国判定をさらに引き上げるような強い地震の続発は確認されていないため、全国判定は「注意」を維持します。 気象庁データ
地域別リスク評価
| 地域・項目 | 判定 | 前日比 | 本日の評価 |
|---|---|---|---|
| 日本全国 | 注意 | → | M6.1後、大規模続発なし |
| 東北・三陸沖 | 注意 | → | 8/27 M6.1後を重点監視 |
| 熊本・天草・九州中部 | 注意 | → | M7.1後の活動と余効変動継続 |
| 北海道・浦河沖~根室 | 注意 | → | M6.0・M4.8後の推移を監視 |
| 首都圏・関東 | 注意 | ↓ | 茨城県南部M5.9から約6日 |
| 南海トラフ | 通常※ | → | 新たな臨時異常情報なし |
| 日向灘 | 注意 | → | 8/2 M5.3後 |
| 伊豆・八丈島周辺 | 注意 | → | 8/21 M5.5後 |
| 沖縄本島 | 通常~注意 | → | M4級活動後 |
| 宮古島周辺 | 注意 | → | 8/25 M4.2、8/28 M4.5 |
| 八重山 | 通常 | → | 新たな警戒材料なし |
| 海底観測 | 通常 | → | 重大な公的異常情報なし |
| 太陽活動 | やや活発 | → | NICT予報でやや活発 |
| 地磁気 | 通常~注意 | ↑ | やや活発化予想 |
| 電離圏 | 通常/参考監視 | → | TEC・foF2は概ね静穏 |
※「通常」は安全を保証するものではなく、現在の観測状態が明確に通常範囲から外れていないことを意味します。
1.三陸沖・東北太平洋側
8月27日04時21分に三陸沖でM6.1・最大震度2が発生しました。
今年の東北太平洋側では、4月20日の三陸沖M7.7、6月25日の岩手県沖M7.2など大きな地震が続いています。
国土地理院のGNSS観測でも、4月の三陸沖地震や6月の岩手県沖地震後の余効変動が岩手県を中心とした広域で継続していることが確認されています。 国土地理院
ただし、27日のM6.1後に同規模以上が連続している状況は確認されていません。
判定
注意 →
Earth Compassでは引き続き本日の最重要監視地域としますが、「警戒」への引き上げを必要とする新しい材料はありません。
2.熊本・天草・九州中部
7月28日の令和8年熊本地震はM7.1・最大震度7で、その後も熊本地方・天草芦北地方で地震活動が続いています。気象庁の緊急地震速報警報履歴にも、本震後のM6.1やM5.8など強い地震が記録されています。 気象庁データ
地殻変動では、国土地理院の「だいち2号」「だいち4号」による最新3次元解析で、日奈久断層帯北西側に
最大約1.5mの北東向き変動
最大約60cmの沈降
が解析されています。これは8月21日に新しく1.5m動いたということではなく、7月28日の本震による変動を詳細解析したものです。 国土地理院
判定
注意 →
活動は本震直後より低下しているものの、Earth Compassでは依然として全国の重点監視地域とします。
3.首都圏・関東
8月23日の茨城県南部M5.9・最大震度5弱から約6日が経過しました。
気象庁の緊急地震速報警報一覧でも、この地震以降、首都圏で新たな震度5弱以上を伴う地震は掲載されていません。 気象庁データ
判定
注意 ↓
活動は沈静化方向です。
今後大きな続発がなければ、Earth Compassでは近く「通常」への引き下げが可能と考えます。
ただし「通常」になっても首都直下地震の長期リスク自体が消えるわけではありません。
4.北海道・浦河沖~根室
8月23日に浦河沖でM6.0・最大震度4、25日に根室半島南東沖でM4.8・最大震度3が発生しました。
その後、北海道太平洋側でM6級が連続する状況は確認されていません。
判定
注意 →
もう数日、浦河沖~根室の広い太平洋側を継続監視します。
5.南海トラフ
南海トラフについて、本日朝までに南海トラフ地震臨時情報を新たに発表する状況は確認されていません。
南海トラフではDONETなどの海底観測網が稼働しており、熊野灘・紀伊水道沖の計51観測点で地震動、水圧変化、ゆっくりした地殻変動などがリアルタイム観測されています。 海底情報ポータル
判定
通常 →
ただしこれは、
「南海トラフ巨大地震の長期リスクが低い」
という意味ではありません。
平常時から長期リスクが高い地域であり、現在は平常時を明確に上回る新しい異常が公式に確認されていないという評価です。
6.沖縄・宮古・八重山
南西諸島では8月25日に沖縄本島近海M3.6・最大震度2、宮古島近海M4.2が発生。
さらに気象庁の最新一覧では、8月28日03時11分に宮古島北西沖M4.5・最大震度1が確認されています。 気象庁データ
沖縄本島
通常~注意 →
宮古島周辺
注意 →
宮古周辺ではM4級が短期間に複数確認されているため、「通常」にはまだ戻しません。
八重山
通常 →
石垣島地方気象台の最新月例地震資料は8月14日に公開された7月分で、その後、八重山を対象とする重大な臨時地震情報は確認していません。 気象庁データ
ただし石垣島・西表島・与那国島などでは、Earth Compassの判定に関係なく、
強い揺れ、または弱くても長い揺れを感じたら、津波警報を待たず高所へ移動
を基本にしてください。
7.海底観測
日本周辺ではS-net・DONETなどの海底地震津波観測網が継続運用されています。
DONETでは地震計だけでなく、水圧計などを使って地震・津波からゆっくりした海底変動まで観測し、データはリアルタイムで関係機関に送られています。 海底情報ポータル
判定
通常 →
Earth Compassでは海底観測の個別波形を独自に「前兆」と認定しません。
海洋ノイズ、小地震、機器特性などさまざまな要因があるため、気象庁・防災科研等の専門解析を優先します。
8.地殻変動
現在の大きな特徴は2つです。
熊本:M7.1に伴う非常に大きな地殻変動と余効変動
東北:2026年の複数の大地震後の余効変動
です。
国土地理院の7月地殻変動概況でも、岩手県北部~青森県で6月25日の岩手県沖地震に伴う地殻変動、岩手県を中心に4月20日の三陸沖地震後の余効変動が継続していることが確認されています。 国土地理院
一方、関東・中部や西日本全域で熊本地震級の新たな広域変動が公表された状況はありません。
判定
注意 →
9.太陽活動・地磁気・電離圏
NICT最新情報では、
太陽活動:やや活発
地磁気活動:直近は静穏、今後1日はやや活発となる予想
です。 宇宙天気予報
電離圏については、日本上空のTECとF領域臨界周波数は概ね静穏。地磁気が多少乱れる可能性はあるものの、大きな電離圏嵐を示す状況ではありません。 宇宙天気予報
太陽活動
やや活発 →
地磁気
通常~注意 ↑
電離圏
通常/参考監視 →
ここはEarth Compassとして重要な科学的線引きです。
太陽フレア、地磁気擾乱、TEC異常などから実用的に地震を予知する方法は確立されていません。
研究対象にはなっていますが、再現性・予測性能ともに防災判断へ利用できる段階ではありません。
したがってEarth Compassでは補助的な環境データとして記録するだけで、地震警戒レベルの直接的根拠には使用しません。
本日のEarth Compass総合評価
🟡 日本全国:注意 →
8月27日の三陸沖M6.1以降、日本列島で新たなM6級・震度5弱以上が続発する状況は確認されていません。
その意味では、昨日に続き「悪化していない」状態です。
一方で、
三陸沖・東北では複数の大型地震後の余効変動
熊本ではM7.1後の地震活動と巨大な地殻変動
北海道ではM6.0後
宮古島周辺では短期間に複数のM4級
が存在するため、全国を「通常」へ戻す段階でもありません。
今日の重点監視順位
1位 三陸沖~東北太平洋側
M6.1後。2026年のM7級地震後の余効変動も継続。
2位 熊本・天草・九州中部
M7.1後。地震活動・地殻変動とも継続監視。
3位 北海道・浦河沖~根室
M6.0・M4.8後。
4位 宮古島周辺
8月25日M4.2、28日M4.5とM4級が複数。
5位 首都圏・関東
M5.9後は沈静化方向。通常への引き下げを検討する段階。
今日のポイント
全国判定は「注意」を継続します。三陸沖M6.1後に同規模以上の続発は確認されず、首都圏も沈静化方向です。一方、熊本・東北・北海道は大地震後の活動を継続監視し、宮古島周辺ではM4級地震が複数確認されています。南海トラフと八重山には、現時点で判定を引き上げる新しい公的異常情報はありません。
防災上のコメント
東北・北海道の太平洋沿岸では、大きな沖合地震が続いた地域であるため、揺れを感じた際に津波情報をすぐ確認できる状態を保ってください。
熊本では、余震だけでなく損傷した建物・ブロック塀・石垣・斜面などへの追加の揺れによる二次災害が重要です。
首都圏は沈静化方向ですが、家具固定、寝床周辺の安全確保、靴・ライト・スマートフォンの準備は平常時の防災としてそのまま維持することを推奨します。
沖縄・宮古・八重山では、海岸近くで強い揺れや長い揺れを感じた場合は、情報を待つことより避難行動を優先してください。
Earth Compass評価基準
通常
現在の観測活動が概ね通常範囲。
注意
地震活動増加、大地震後の継続活動、注視すべき地殻変動など。
警戒
強い地震直後、公的注意情報、または複数の独立観測で短期的な防災警戒を一段高めるべき状態。
高警戒
重大な公的臨時情報などを伴う明確な異常状態。
Earth Compassは地震を予知するものではありません。
地震活動、GNSS、衛星SAR、海底観測、スロースリップ、電離圏、太陽活動、地磁気などの専門機関による公開データを横断して、
「現在の状態が通常状態からどの程度離れているか」
を評価するリスクモニタリングです。
データ出典・参考資料
気象庁|最新の地震情報
気象庁|地震の活動状況
気象庁|緊急地震速報(警報)発表状況
国土地理院|令和8年熊本地震に伴う地殻変動
国土地理院|令和8年7月の地殻変動
防災科研|海底地震津波観測網
石垣島地方気象台
NICT|宇宙天気予報
NICT|電離圏領域
Earth Compass — 予知ではなく、確かな観測から。

