2026年8月22日 朝版
日本列島・地殻活動リスクモニタリング
本日の総合判定:注意
前日比:→ 大きな変化なし。ただし八丈島東方沖M5.5を新規監視
8月22日朝時点では、日本列島全体を「警戒」「高警戒」へ引き上げるような、複数の観測系にまたがる明確な異常は確認されていません。
一方、昨日21日夜に八丈島東方沖でM5.5の地震が発生しました。また、熊本地震について国土地理院が衛星SARによる3次元解析を更新し、日奈久断層帯北西側で非常に大きな地殻変動が生じていたことが、より詳細に明らかになっています。
全国総合判定は引き続き**「注意」**です。
地域別リスク
| 地域・項目 | 判定 | 前日比 | 本日の評価 |
|---|---|---|---|
| 日本全国 | 注意 | → | 熊本地震後の活動を継続監視 |
| 熊本・天草・九州中部 | 注意 | → | M7.1後の活動・余効変動 |
| 南海トラフ | 通常※ | → | 特段の異常変化なし |
| 日向灘 | 注意 | → | 8月2日M5.3後を継続監視 |
| 首都圏 | 通常 | → | 現時点で異常上昇なし |
| 伊豆・八丈島周辺 | 注意 | ↑ | 8月21日M5.5 |
| 東北・三陸沖 | 注意 | → | 今年の大地震後を継続監視 |
| 沖縄本島 | 通常 | → | 8月21日M4.2、単発では異常判定せず |
| 宮古・八重山 | 通常 | → | 新たな顕著な異常なし |
| 海底観測 | 通常 | → | 臨時異常情報なし |
| 宇宙天気 | 通常 | → | おおむね静穏 |
※「通常」は「安全」という意味ではなく、現在の活動が明確に通常状態から外れていないという意味です。
1.熊本・天草・九州中部
本日の最重要監視地域は、引き続き熊本周辺です。
7月28日の令和8年熊本地震M7.1後、熊本地方から天草・芦北地方にかけて地震活動が継続しています。
国土地理院は昨日8月21日、「だいち2号」「だいち4号」のSAR観測を組み合わせた新しい3次元解析結果を公表しました。
解析では日奈久断層帯北西側に、
最大約1.5mの北東方向への移動
最大約60cmの沈降
が確認されています。
数字だけを見るとかなり大きな変化ですが、ここは注意が必要です。
これは8月21日に新たに1.5m動いたという意味ではありません。
7月28日のM7.1地震によって生じた地殻変動を、その後取得された衛星データによって、より精密に三次元解析した結果です。
したがってEarth Compassでは、
重要な解析更新ではあるが、新たな地殻異常の発生ではない
と評価します。
判定
注意 →
2.八丈島東方沖・伊豆諸島
昨日8月21日21時02分、八丈島東方沖でM5.5、深さ約60kmの地震が発生しました。
気象庁のCMT解析ではMw5.4、発震機構は逆断層型です。
今回のM5.5だけから、伊豆諸島や首都圏で大地震が切迫していると判断することはできません。
しかし、昨日までになかったM5級地震が新たに関東南方海域で発生したため、
伊豆・八丈島周辺
注意 ↑
へ引き上げます。
今後数日、
同じ震源域で地震が続くか
震源域が拡大するか
M5級以上が再び発生するか
を重点的に確認します。
3.南海トラフ
南海トラフについては、本日もEarth Compassの判定を引き上げる新しい公的情報は確認していません。
四国・紀伊半島・東海周辺では、深部低周波地震・微動、短期的ゆっくりすべり、長期的ゆっくりすべりなどが観測されています。
しかし、これらは南海トラフ沿いで以前から繰り返し確認されている現象です。
現時点では、
「巨大地震発生の可能性が平常時より相対的に高まったことを示す特段の変化」
とは評価されていません。
判定
通常 →
ただし南海トラフは、平常時そのものの長期リスクが高い地域です。
「通常=南海トラフ地震の危険が低い」ではありません。
4.日向灘
8月2日に日向灘でM5.3の地震が発生しています。
その後、Earth Compassの判定をさらに上げるような明確な規模拡大や、公的な異常評価は確認されていません。
判定
注意 →
南海トラフ西端に近い重要監視地域であるため、注意を継続します。
5.首都圏
昨夜の八丈島東方沖M5.5は関東地方南方の地震として注視しますが、震源は首都圏直下ではありません。
現時点で首都圏について、
- 大規模な群発地震
- 急激な規模拡大
- 異常なGNSS変動
- 公的な臨時警戒情報
は確認されていません。
判定
通常 →
八丈島東方沖の活動が北上・連続化するなどの変化があれば再評価します。
6.沖縄本島
昨日8月21日09時01分、沖縄本島近海でM4.2、深さ約40kmの地震が発生しました。
最大震度は2で、長周期地震動階級1以上は観測されていません。
沖縄本島周辺ではM4級地震自体は珍しい現象ではなく、この1回だけで地震活動が異常化したとは判断できません。
判定
通常 →
ただし今後、同じ震源域でM4~5級が連続する場合は評価を変更します。
7.宮古・八重山
石垣島地方気象台の最新定例資料は、8月14日に公表された「2026年7月の八重山地方の地震活動」です。
8月22日朝までに、石垣島・西表島・与那国島周辺について警戒度を引き上げる新たな臨時情報は確認していません。
昨日の沖縄本島近海M4.2についても、八重山からは離れた震源です。
判定
通常 →
八重山についてEarth Compassで特に重視するのは、地震そのものと同時に津波リスクです。
強い揺れ、または弱くても長くゆっくりした揺れを感じた場合は、
津波警報を待たず高い場所へ移動する
ことを基本行動としてください。
8.海底観測
日本周辺では、
S-net
DONET
N-net
などの海底地震・津波観測網が運用されています。
南海トラフや日本海溝など、陸上観測だけでは把握しにくい海域の地震・津波を監視する重要な観測網です。
本朝までに、これらの海底観測を根拠として南海トラフ地震臨時情報などが新たに発表された状況はありません。
判定
通常 →
9.太陽活動・地磁気・電離圏
NICTの最新宇宙天気情報では、プロトン現象は静穏予想です。
電離圏ではF領域臨界周波数、日本上空の全電子数(TEC)とも概ね静穏な状態が観測されています。
今後、地磁気は多少乱れる可能性がありますが、現時点でEarth Compassが特に注視すべき大規模な宇宙天気現象ではありません。
判定
通常 →
なお、Earth Compassでは太陽活動・地磁気・電離層を継続観測していますが、
太陽フレア
地磁気嵐
TEC異常
などを使って地震を実用的に予測できる科学的方法は、現在確立されていません。
したがって、これらは補助観測項目であり、地震リスク判定を直接引き上げる材料には使用しません。
本日のEarth Compass
🟡 総合判定:注意
昨日から日本列島全体のリスクが大きく悪化したとは評価しません。
ただし、新しい観測として、
八丈島東方沖M5.5
が加わりました。
そして熊本では、衛星SAR解析によって7月28日の地震で生じた巨大な地殻変動がさらに明確になっています。
今日の重点監視順位
1位 熊本・天草・九州中部
7月28日M7.1後の活動と余効変動を継続監視。
2位 伊豆・八丈島東方沖
昨夜M5.5。今後数日の連続性を確認。
3位 日向灘~南海トラフ西端
8月2日M5.3後を引き続き監視。
現時点では、
南海トラフ:新たな異常情報なし
首都圏:大きな変化なし
沖縄・八重山:大きな変化なし
宇宙天気:概ね静穏
という状態です。
今日のポイント
全国総合は「注意」継続。熊本は長期監視、八丈島東方沖M5.5を新たに注視します。
防災上のコメント
熊本では、大きな地殻変動が実際に発生した地域であることを改めて認識する必要があります。
損傷した建物、石垣、ブロック塀、斜面などでは、小さな地震でも二次被害が発生する可能性があります。
伊豆諸島では、昨夜のM5.5後に同程度以上の地震が続くかどうかを確認してください。
沖縄・八重山など島しょ部では、Earth Compassの判定が「通常」であっても、強い揺れ・長い揺れを感じた場合の津波避難原則は変わりません。
Earth Compass評価基準
通常
通常範囲の地震・地殻活動
注意
活動増加、大地震後の継続活動、注視すべき地殻変動
警戒
複数の独立した観測系で通常とは異なる変化
高警戒
公的な臨時情報などを伴う明確な異常状態
Earth Compassは地震を予知するものではありません。
地震活動、GNSS、衛星SAR、海底観測、スロースリップ、電離層、太陽活動、地磁気などの公開データを横断し、
「現在の状態が通常状態からどの程度離れているか」
を評価するリスクモニタリングです。
データ出典・参考資料
気象庁「八丈島東方沖 M5.5」2026年8月21日 気象庁データ
気象庁「過去30日間の地震・長周期地震動観測結果」 気象庁データ
気象庁「沖縄本島近海 M4.2」2026年8月21日 気象庁データ
国土地理院「令和8年熊本地震に伴う地殻変動」8月21日更新 国土地理院
石垣島地方気象台「八重山地方の地震活動」 気象庁データ
NICT「宇宙天気予報」 swc.nict.go.jp
Earth Compass — 予知ではなく、確かな観測から。

