2026年8月21日 朝版
日本列島・地殻活動リスクモニタリング
本日の総合判定:注意
前日比:→ 大きな悪化なし
8月21日朝時点で、気象庁・国土地理院・地震調査研究推進本部・NICTの最新公開情報を確認した範囲では、日本列島全体を**「警戒」または「高警戒」へ引き上げる新たな複合異常は確認できません**。一方、7月28日の令和8年熊本地震M7.1後の活動と余効変動は継続監視が必要なため、Earth Compassの全国総合判定は引き続き**「注意」**とします。 地震本部
| 地域・項目 | 判定 | 前日比 | 本日の評価 |
|---|---|---|---|
| 日本全国 | 注意 | → | 熊本地震後の活動を継続監視 |
| 熊本・天草・九州中部 | 注意 | → | M7.1後の地震活動・余効変動 |
| 南海トラフ | 通常※ | → | 特段の異常変化なし |
| 日向灘 | 注意 | → | 8/2 M5.3後を継続監視 |
| 首都圏 | 通常 | → | 新たな公的異常情報なし |
| 東北・三陸沖 | 注意 | → | 今年の大地震後の推移を監視 |
| 沖縄本島 | 通常 | → | 新たな臨時情報なし |
| 宮古・八重山 | 通常 | → | 警戒度上昇を示す新規材料なし |
| 地殻変動 | 注意 | → | 熊本で余効変動継続 |
| 宇宙天気 | 通常 | ↓ | 地磁気・電離圏とも概ね静穏 |
※「通常」は「安全」を意味せず、現在の観測が平常範囲から明確に外れていないという意味です。
1.熊本・天草・九州中部
本日の最重要監視地域は引き続き熊本周辺です。地震調査研究推進本部は、7月28日の熊本県熊本地方M7.1・最大震度7以降の一連の活動を「令和8年熊本地震」として継続評価しています。最新の公式評価は8月12日公表分です。 地震本部
国土地理院のGNSS解析では、電子基準点「千丁」で地震に伴い北東方向へ約87cm、約33cmの沈降が確認され、その後も余効変動と考えられる地殻変動が観測されています。 国土地理院
さらに国土地理院は8月20日、大きな地殻変動が生じた地域とその周辺にある35点の基準点について測量成果の公表を停止しました。これは座標値が地震前から大きく変化したことへの測量上の対応であり、「8月20日に新たな異常変動が突然起きた」という意味ではありません。 国土地理院
判定:注意 →
昨日から「警戒」へ引き上げる新たな独立観測系の異常は確認できませんが、大地震後の地殻調整過程はまだ継続中と考えるべきです。
2.南海トラフ
気象庁の最新定例評価は2026年8月7日です。
結論は、
南海トラフ沿いの大規模地震発生可能性が、平常時と比べ相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない
というものです。 気象庁
ただし観測そのものには複数の動きがあります。8月2日には日向灘の深さ21kmでM5.3が発生しましたが、フィリピン海プレート内部の正断層型地震で、気象庁は南海トラフのプレート間固着状態に特段の変化を示すものではないと評価しています。 気象庁
また7月には、
四国中部
紀伊半島西部
四国西部
で深部低周波地震・微動と、それに同期したわずかな地殻変動が観測されました。これはプレート境界深部での短期的ゆっくりすべりに起因すると推定されています。静岡県西部~愛知県東部では2022年初頭から長期的ゆっくりすべりに対応するとみられる地殻変動も継続しています。 気象庁
重要なのは、
スロースリップが存在すること ≠ 大地震直前の異常
という点です。気象庁は、今回確認されている現象はいずれも従来から繰り返し観測されてきた種類のものとしています。 気象庁
判定:通常 →
ただし南海トラフM8~9級は平常時から長期的な発生可能性が高く、昭和東南海・昭和南海地震から約80年が経過しているため、気象庁も「切迫性の高い状態」と説明しています。 気象庁
3.海底観測
南海トラフ周辺ではDONETやN-net、東日本沖ではS-netなど、海底地震・津波観測網を含む観測体制が継続しています。今朝時点で、海底観測データを根拠として南海トラフ地震臨時情報が新規発表された状況はありません。気象庁の最新南海トラフ評価は引き続き8月7日分です。 気象庁データ
判定:通常 →
4.沖縄・宮古・八重山
沖縄周辺は、南西諸島海溝と沖縄トラフに挟まれるため、平常時から地震活動が比較的活発です。気象庁資料では2025年だけでも沖縄周辺で約14,000回の地震が観測されており、単純な「回数の多さ」だけでは異常判定できません。 気象庁データ
宮古島地方気象台は8月19日に最新の「2026年7月の宮古島地方の地震活動図」を公開していますが、8月21日朝までに宮古・八重山についてEarth Compassの警戒レベルを引き上げる新たな臨時情報は確認できません。 気象庁データ
宮古・八重山判定:通常 →
ただし八重山では、地震リスク評価が「通常」であっても津波への即時避難原則は別枠です。
強い揺れ、または弱くても長くゆっくりした揺れを感じた場合は、警報を待たず高い場所へ避難してください。
5.首都圏
今朝確認した主要公的機関の最新情報では、首都圏について、
大規模な群発化
急激な規模増大
異常なGNSS変動
臨時の公的警戒情報
といった、Earth Compassの判定を上げる材料は確認していません。
判定:通常 →
もちろん首都直下地震の長期リスクそのものが低いという意味ではありません。ここでは「現在の活動状態が平常域から外れているか」を評価しています。
6.地磁気・太陽活動・電離圏
今日はこちらが前日より改善方向です。
NICTの最新宇宙天気情報では、地磁気活動は直近で「やや活発」だったものの、今後数日間は静穏な状態が予想されています。電離圏についても静穏な状態です。 宇宙天気予報
過去1週間では地磁気活動が一部活発化し、電離圏も乱れた期間がありましたが、最新予報では静穏化方向です。 宇宙天気予報
判定:通常 ↓
ここには重要な科学的注意があります。
太陽フレア、地磁気嵐、電離層異常を用いて地震発生を実用的に予測できるという科学的手法は確立されていません。
したがってEarth Compassでは宇宙天気を補助観測項目として追跡しますが、地震リスクを直接「注意→警戒」に引き上げる根拠には使用しません。
7.本日の総合評価
🟡 注意
昨日からEarth Compass全体としての大きな悪化はありません。
本日の重点監視順位は、
1位 熊本・天草・九州中部
2位 日向灘~南海トラフ西端
3位 東北・三陸沖
です。
特に熊本では余効変動が続いていますが、これは現時点では7月28日の大地震後の地殻調整として説明可能な範囲です。国土地理院が8月20日に35点の測量成果を停止したことも重要な更新ですが、新たな大地震切迫を示す観測ではありません。 国土地理院
南海トラフについては、
深部低周波微動あり
スロースリップあり
長期的地殻変動あり
ですが、気象庁の評価は依然として、
「平常時と比較した特段の変化なし」
です。 気象庁
宇宙天気はむしろ静穏化方向です。 宇宙天気予報
今日のキーワードは「熊本は継続注意。南海トラフに新たな異常なし。宇宙天気は静穏化」です。
防災上のコメント
熊本地震の被災地域では、地震そのものの規模だけでなく、既に損傷した建物・ブロック塀・石垣・斜面などへの二次的影響を重視してください。
八重山など海に囲まれた地域では、津波対応が最優先です。強い揺れ・長い揺れを感じたら高台へ移動し、その後に情報確認という順序を基本にしてください。
Earth Compass評価基準
通常:平常範囲の活動
注意:活動増加、大地震後の継続活動、注視すべき地殻変動
警戒:複数の独立した観測系で通常とは異なる変化
高警戒:公的な臨時情報等を伴う明確な異常状態
Earth Compassは地震予知ではありません。地震、GNSS、海底観測、スロースリップ、宇宙天気などの公開データを横断し、**「現在の状態が通常状態からどれほど離れているか」**を継続評価するリスクモニタリングです。
データ出典・参考資料
気象庁「南海トラフ地震関連解説情報」2026年8月7日 気象庁
地震調査研究推進本部「令和8年熊本地震に関する情報」 地震本部
国土地理院「令和8年熊本地震に関する情報」 国土地理院
国土地理院「令和8年熊本地震に伴う基準点成果の公表停止」 国土地理院
宮古島地方気象台 気象庁データ
NICT 宇宙天気予報 宇宙天気予報
Earth Compass — 予知ではなく、確かな観測から。

