2026年8月17日 朝版
日本列島・地殻活動リスクモニタリング
本日の総合判定:注意
前日比:→ 大きな変化なし
現時点で、日本列島全体について「大地震発生が通常より明確に切迫した」と判断できる観測データは確認できません。一方、7月28日の令和8年熊本地震後の九州中部では地震活動が継続しており、8月12日には天草地方でM5.2の地震も観測されています。このため、全国を一律に「通常」とするのではなく、Earth Compassでは引き続き九州中部を中心に一段高い注意状態として評価します。防災科研Hi-netでは今朝7時10分にも茨城県南部でM2.8、深さ約87kmの地震を自動検出していますが、これ単独で首都圏のリスク上昇を示すものではありません。 防災科学技術研究所
地域別リスク
| 地域 | 判定 | 前日比 | Earth Compass評価 |
|---|---|---|---|
| 日本全国 | 注意 | → | 熊本周辺の活動を継続監視 |
| 熊本・天草・九州中部 | 注意 | → | 令和8年熊本地震後の活動が継続 |
| 南海トラフ | 通常※ | → | 特段の異常変化なし |
| 日向灘 | 注意 | → | 8/2 M5.3、ただし南海トラフ固着変化を示さず |
| 首都圏 | 通常 | → | 今朝の茨城県南部M2.8は深発・小規模 |
| 東北・三陸沖 | 注意 | → | 2026年の大地震後の推移を継続監視 |
| 沖縄本島 | 通常 | → | 顕著な新規異常を確認せず |
| 宮古・八重山 | 通常 | → | 現時点で警戒度を引き上げる材料なし |
※「通常」は「安全」を意味しません。南海トラフは平常時から長期的な発生リスクが高い地域です。
1.最重要監視:熊本・天草
7月28日の令和8年熊本地震(気象庁M7.1、最大震度7)の震央周辺では、7月28日16時から8月10日8時までに震度1以上を589回観測しています。内訳は震度5弱5回、震度4が22回、震度3が57回などで、依然として活発な地震活動が続く地域として扱う必要があります。さらに8月12日には防災科研Hi-netが天草地方でM5.2、深さ13kmの地震を捉えています。 気象庁
ただし、余震・周辺活動が続いていることと、「さらに大きな地震が起きる」と予測することは別です。現段階ではEarth Compassとして警戒・高警戒へ引き上げる科学的根拠は確認できません。
判定:注意
2.南海トラフ
ここは本日の重要ポイントです。
気象庁が8月7日に開催した第108回評価検討会では、
「南海トラフ沿いの大規模地震の発生可能性が、平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」
と評価しています。 気象庁
8月2日には日向灘の深さ21kmでM5.3が発生しましたが、フィリピン海プレート内部の地震であり、気象庁は南海トラフ沿いのプレート間固着状態の特段の変化を示すものではないと判断しています。 気象庁
一方で観測上は、四国中部・紀伊半島西部・四国西部で深部低周波地震や短期的ゆっくりすべりが確認されています。また静岡県西部~愛知県東部では、2022年から長期的ゆっくりすべりに起因するとみられる地殻変動が継続しています。これらは現在のところ従来から繰り返し観測されてきた現象の範囲と評価されています。 気象庁
Earth Compass判定
通常(長期的には高リスク)
ここは重要な区別です。
「現在、異常が確認されていない」≠「南海トラフ地震の危険が低い」
気象庁自身も、南海トラフM8~9級地震は平常時から発生確率が高く、昭和東南海・昭和南海地震から約80年が経過しているため、切迫性の高い状態であるとしています。 気象庁
3.首都圏
今朝7時10分、防災科研Hi-netが茨城県南部、M2.8、深さ87.4kmの地震を自動検出しています。首都圏直下では珍しいタイプの観測ではなく、この1イベントだけから活動の異常上昇を判断することはできません。 防災科学技術研究所
現時点では、首都圏の警戒レベルを引き上げるだけの連続性・規模増大・顕著な地殻変動を示す公開情報は確認していません。
判定:通常
4.沖縄・宮古・八重山
本朝までに確認した公開観測情報では、石垣島・与那国島・西表島を含む八重山地域について、Earth Compassの警戒レベルを引き上げる規模の新たな地震活動や異常な地殻変動は確認していません。
八重山周辺はフィリピン海プレート・琉球海溝系の活動域であり、長期的には地震・津波リスクを常に持つ地域ですが、
本日の判定:通常
とします。
海岸付近にいる際に強い揺れ、または長くゆっくりした揺れを感じた場合は、情報を待たず高い場所へ避難するという基本行動は変わりません。
5.地殻変動・スロースリップ
現在最も注目すべき地殻変動データは南海トラフ沿いです。
四国・紀伊半島周辺では深部低周波微動と同期した小さな地殻変動が観測され、短期的ゆっくりすべりと推定されています。また、静岡県西部~愛知県東部では長期的ゆっくりすべりが継続しています。御前崎・潮岬・室戸岬ではフィリピン海プレートの沈み込みに伴う長期的な沈降傾向が続いていますが、その傾向に大きな変化はないとされています。 気象庁
したがって現在は、
「動いている」ことは事実だが、「通常とは違う動きに変化した」とは評価されていない
という状態です。
ここをEarth Compassでは非常に重要視します。
6.太陽活動・地磁気・電離層
NICT宇宙天気予報による最新情報では、太陽活動は静穏~やや活発な範囲、地磁気活動は静穏とされています。最新の地磁気K指数も静穏域で、現時点では大規模な磁気嵐を示す状況ではありません。 宇宙天気予報
Earth Compass補助判定:通常
なお、太陽フレア・地磁気嵐・電離層変動と地震発生との関係については研究がありますが、現在の地震予知に利用できる科学的因果関係は確立されていません。
そのためEarth Compassでは宇宙天気を「補助観測項目」として記録しますが、地震リスク判定を引き上げる直接的根拠には使用しません。
これは今後も同じ基準で運用します。
本日のEarth Compass
🟡 総合リスク:注意
昨日から大きな悪化はありません。
今日もっとも注意して見るべき地域は引き続き、
熊本県熊本地方~天草・芦北周辺
です。
南海トラフについては、スロースリップや深部低周波微動は観測されているものの、気象庁の最新評価では異常な固着変化は確認されていません。
沖縄・八重山についても、本朝時点で警戒度を引き上げる材料はありません。
したがって本日の位置づけは、
「全国的な異常シグナルは確認されていない。しかし熊本周辺の地震活動はまだ終わったと考えず、継続監視する。」
とします。
防災上のひとこと
熊本周辺では、これまでの地震で弱くなった建物・石垣・斜面などは、小さな揺れでも被害が拡大する可能性があります。地震の規模だけでなく、「被災後の環境」そのものがリスクになっていることに注意してください。
八重山を含む島しょ部では、地震時の最大のポイントは津波です。強い揺れや長周期の揺れを感じた場合は、警報を確認する前に避難行動へ移ることが重要です。
Earth Compassの評価基準
通常:通常範囲の地震・地殻活動
注意:活動増加、顕著な余震活動、注視すべき地殻変動
警戒:複数の独立した観測系で通常と異なる変化
高警戒:公的機関の臨時情報等を含む、明確な異常状態
Earth Compassは「地震予知」を行うものではありません。地震・GNSS・海底観測・地殻変動など複数の公開観測データから、現在の状態が平常からどれほど離れているかを可視化するリスクモニタリングです。
データ出典・参考資料
気象庁「南海トラフ地震関連解説情報」8月7日版 気象庁
気象庁「南海トラフ地震に関連する情報」 気象庁データ公開サイト
防災科学技術研究所 Hi-net 防災科学技術研究所
気象庁・文部科学省「九州地方の地震活動」 気象庁
NICT 宇宙天気予報 宇宙天気予報
Earth Compass — 予知ではなく、確かな観測から。

